ああ、ほぼ処女の自分が憎い。
前に彼氏がいたのは大学生の頃で、就職で離れて自然消滅してしまった。それから四年、良い縁がないまま、婚約してしまった。
だから、っていうのは言い訳にしかならないけど、けっこう身の回りのことは手を抜いてきてしまった。
客観的に見たら、なんてつまらなくて寂しい人生だろう。
ちらと大西さんを横目で見てから、カードキーを差し込んだ。
ああ、こんな人が恋人で、部屋に遊びに来てくれたなら、どんなに良かっただろう。
ドアを開けて脱いだ靴をそろえ、電気を点ける。その後を大西さんがついてきた。
「なんだ、綺麗にしてるじゃない。全然恥ずかしくないよ」
私は小さなキャビネットの上のサンタをさっとつかむと、ポケットに押し込んだ。
「あ、はは、どうも」
あまりじろじろ見ないでよ……。
ごく普通のワンルーム。キッチンはむき出しで、綺麗すぎる。自炊サボってる感が満々。
「どうぞ、楽にしてください」
私は着替えもせず、ひたすらテーブルの下のマットを粘着テープで掃除しだす。
一心不乱にコロコロしていると、背後で大西さんがぷっと噴きだした。



