「お前なあ、主役なんだからもっと気張ってこいよな」
矢作さんが、カジュアルなノースリーブのワンピースで来てしまった私を笑いながらからかう。
「だって、こんなのだって知らなくて」
「大丈夫。霧子さんは何を着てても可愛いわよ」
明らかに私より綺麗な桜さんは、きちんと背中の開いたイブニングドレスを着ている。
くそう……主役を食うとは、まさにこのこと……。
「じゃあ霧子、プレゼントを持ってくるから待っててくれよ」
もう待ちきれないという様子で、父が直線になっている階段を駆け上がっていく。
あれ、父ってあんなに膝が動いたの?
その様子を見ていると、いつの間にか誰も話さなくなっていた。
視線は、階段の上に集中している。
え、なにこれ、なんか雰囲気に飲まれて緊張しちゃうんだけど。
そんなに大掛かりなプレゼントなのかな……。
全然想像ができないでいると、父が入っていった二階の部屋のドアが、ゆっくり開いた。



