きっと、私と父が会ったのは、この日が最初で最後だったのだろう。
母は、父のために私を連れて、離れていくことを決めたのだから。
『可愛いなぁ、なんでこんなに可愛いんだろう』
父はぽろぽろと涙を流し、私を抱いていた。
避けられない別れがそこまで迫っているのを、この人が知らないわけはなかった。
そうか、私は父に愛されていなかったんじゃない。そして、母も。
人の道から外れたことだったとしても、父は母と、そして私を、ずっと愛してくれていたんだ。
だから悠も篠田さんも、このデータを『私にとって大切なもの』だと言ったんだ。
父も、最後の母との思い出を、どうしても守りたかったんだろう。
映像が終わり、画面が暗くなっても、私はぼんやりとパソコンの前に座り続けていた。
すると、突然テーブルの上のスマホが鳴った。
「もしもし……?」
鼻をすすりながら出ると、電話の相手が話しだす。



