強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】



『どうぞ』


清潔な布に包まれた赤ちゃんが、母に大事に手渡される。

母はそのお猿みたいな赤ちゃんを、とても愛しそうに見つめた。


『名前はどうしよう?』


母はカメラに向かって聞く。


『僕が付けてもいいかな』

『ええ、いいわよ』

『霧子っていうのは、どうかい』


男の声に、母はにっこり笑ってうなずいた。

そして、赤ちゃんに向かって語りかける。


『霧子ちゃん、良い名前をもらったね。ほら、お父さんよ』


そう母が言うと、画面がぐらぐらと揺れた。

いったい何を映しているのかわからない画面がやっと定まる。

その映像を見て、息が止まりそうになった。

娘を抱く、父親の姿。

間違いない。これは、産まれたばかりの私を抱く、父の姿だ……。

ぼろぼろと涙がこぼれる。

父は、私が産まれたことをこんなに喜んでくれていたんだ。

今にもとろけてしまいそうな顔で、目を糸みたいにして……。