「暴行目的だとしたら、あんな高級ホテルの滞在者専用の庭に入り込む意味がわからない。あそこには、隠れて暴行できる場所がない」
高浜さんが口を挟んできた。暴行って……もしや、強姦みたいなことだろうか。考えるだけでぞっとした。
「防犯カメラを確認してみたけど、俺にはどうも、彼が明確な殺意を持ってキミを襲っているようにしか見えなかったんだよね」
大西さんは淡々とそんなことを言うけど……殺意を持ってって、つまり私は殺されかけたということ?
それはそれで、すごく怖いんですけど。
「とまあ、不審な点がたくさん残っているわけです。総理がものすごくあなたのことを心配していましてね。しばらく警護についてくれとのことで」
ああ……それで、一般人の私に例外的に警護についてくれることになったんだ。お父さんったら、過保護なんだから。職権乱用だよ。
見慣れた景色が車の窓の外を流れていく。
信号が赤に変わった瞬間、大西さんが話を再開した。
「で、俺たちが君の担当SPになったってわけ」
「それで学校へ?」
「いきなり爆発するから、ビックリしたよ。俺は生徒用の入口から、高浜さんたちはテロリストの裏から近づいた」



