二カ月後。
結局前の学校を辞めはせず、休職中となっていた私は、夏休み明けに別の学校の美術教師として復職することになった。
まさかテロリストに襲われて、駆け落ち騒ぎまで起こした私が教師として復職できるなんて驚きだったけど、冷静に考えれば、父が手を回してくれたのだろう。
世間では次々に新しい事件が起きて、過去の事件は人々の頭の片隅に追いやられて消えていく。
今はまだ七月。夏休みが終わるころには、誰もあの事件のことなど覚えていないだろう。
あのあと、篤志さんは殺人未遂や色々な罪が加わって、まだ裁判も始まっていない状態。
けれど、実刑は確実ではないかと言われている。
彼の恋人や子供には申し訳ないけど、私にはどうしてあげることもできない。
彼女たちがどうにかして幸せでいてくれることを、祈るばかり。
事件直後に会うことができた桜さんは、私をホテルから連れ出したことでSPたちや篠田さんにこってり絞られたようだけど、意外にケロッとしていた。さすが、只者じゃない。



