「笑えばいいさ。総理と霧子を殺したって、愛する人とは一緒になれない。父が許すはずがない。それでも僕はこうするしか、彼女に僕の愛を証明する方法がなかったんだ」
震える声は、そこで途切れた。
しんと静まり返った教会で、冷たいハスキーボイスが響いた。
「八乙女篤志。銃刀法違反の現行犯で、逮捕する」
篠田さんが言うと、悠が手錠を取りだす。
そして、いつの間にか他のSPに銃を取り上げられていた篤志さんの両手首を前に回させ、がちゃりとそれをかけた。
「行くぞ」
高浜さんたちが、うなだれたままの篤志さんを連行していく。
その途端、全身から力が抜け、ぺたりとその場に座ってしまった。
「大丈夫?」
教会の中に残っているのは、悠と私と父だけ。
「……これで、すべて終わったのね」
ひどい政略結婚に、テロ事件。
私を襲う厄災が、たった一瞬で消え去ってしまった。



