「落ち着いたら、複製したデータを届けさせます。このネックレスはこのまま保管しておいた方がいい」
ええ~、今教えてくれないの?
ちょっと不満だったけど、無事に返ってきて良かった。
ぎゅっと古ぼけた宝石をにぎりしめる。
「もう一つ聞く。総理だけでなく、霧子を殺そうとしたのはなぜだ?」
うなだれる篤志さんに、悠が聞く。
その目は、まったく笑っていなかった。
「……他の女を愛しているからさ」
うなだれたまま、篤志さんはつぶやく。
他の女。それはきっと、彼の子供を身ごもっているあの人のことだろう。
テロリストの凶弾に巻き込まれないよう、彼自身で守ろうとした、あの人……。
「総理に怪しまれないため、そして警察の目を欺くため、この結婚を望んでいるように見せかける必要があった。けれど、本当は俺だって、こんな結婚をしたくはなかった」
どんな表情をしているかはわからないけど、声は悔しそうに震えている。



