「違う! あのネックレスは、そんなデータひとつも……」
今まで震えて黙っていた父が、突然声を上げた。
そして、きょろきょろと辺りを見回す。
「そういえば、あのネックレスはどこにいったんだ?」
あ、そういえば。
さっきテロリストに投げ渡して、それからどうなったんだろう。
「それなら、ここです」
父の後方から声がして、みんながそちらを振り向く。
そこには、ネックレスを持った篠田さんがいた。
「すみません、総理。実は一度娘さんからこれをお預かりした際、公安でデータを解析させていただきました」
「なんだと」
「実に大切なデータです。二十年以上前に、このようなモノを作る技術があったとは、驚きですよ」
篠田さんは優雅に歩いて近づいてくると、私にそれを手渡した。
「いったい、どんなデータが入っていたと言うんだ」
篤志さんが体の自由を奪われたまま怒鳴る。
そんな彼に冷たい視線を送ると、篠田さんは言った。
「あんたには、このデータの値打ちはわかるまい」
そして、私の方を振り向く。



