「総理を始末し、八乙女家を政界のトップにするのが目的だったってわけか」
悠が聞く。
「ああそうさ。政略結婚で派閥の絆を強くしたとて、世間の好感度が高い総理がいる間は、八乙女家に光が当たることはない。ずっと総理の補佐をするのには、もう飽きたんだ」
そんな……。父が信頼していた八乙女家の人たちが、そんなことを考えていたなんて。
「そんなとき、金がほしくてあんたに情報を売ったやつがいるな」
「あのネックレスを作った業者のことか」
悠の質問に素直に答えてしまう篤志さん。
「あのデータがどんなものだと思ったんだ?」
「そこまでして大事に残すのは、金のデータに決まっている。他の政治家の裏金の証拠や、企業の献金のデータじゃないのか」
「つまり、八乙女家にやましいことがあるってことだな。自分の家の不正のデータが残されているのではないかと思ったんだろ」
呆れたような目で、悠は篤志さんを見た。
さっきから洗いざらい喋ってしまっている自分に気づいたのか、篤志さんはさーっと青ざめていく。そんなとき。



