「銃を離せ」
近くで、聞き覚えのある声が聞こえた。
おそるおそる目を開けると、銃口がおでこから少し離れた。
目の前にいる篤志さんは、こわばった顔をしている。
そのこめかみの近くに、別の銃が向けられていた。
上へ上へと視線を移すと、その銃を持っていたのは、汗だくで荒い息をする悠だった。
「ちっ……」
「もう調べはついてる。この事件の黒幕はお前だな、八乙女篤志」
ゆっくりと立ち上がる篤志さん。
私も震える足で立ち上がり、悠に寄り添った。
黒幕が篤志さんって……どういうこと?
「お前は他の人間を使って、総理に反感を持つテロリストに接触し、ネックレスを奪い、霧子を殺害しようと企てた」
こめかみに銃を向けられたままの篤志さんは、黙ったまま。
その目はぎらりと悠をにらみつけている。
「何を証拠に」
「霧子と一緒に襲われた時、テロリストたちはお前には一切手を触れようとはしなかった。あの夜に思ったんだ。この事件は、お前の自作自演じゃないかと」



