パニックに陥りそうな頭の片隅に、ふと疑問がわく。
この政略結婚を阻止したいのなら、篤志さんやそのお父さんだって、標的になってもおかしくないはず。
それなのにどうして、私と父の命だけを狙うの?
とうとうテロリストの指が、ピストルの引き金にかかった。そのとき。
──ガシャアアアアン!!
突然、背後でガラスが割れるような音が響く。
思わず頭を抱えて伏せてしまった。
なんなのよ、もう。新手のテロリストとか言うんじゃないでしょうね。
篤志さんと結婚するなんて、人生半分捨てたようなものだけど、それでも死ぬのは嫌。怖い。
目を開くこともできなくてガタガタと震えていると、ガラスを踏む足音が聞こえた。
「警察だ! 銃を下ろせ!」
ん? このハスキーボイス、聞き覚えがあるような……。



