「どうも、お疲れ様です。大西と同じ班の高浜と言います」
運転席のSPがエンジンをかけながら言った。
高浜さんは、私と同い年くらいに見える大西さんより、少し年上かな?
落ち着いた雰囲気の、まさに大人の男性という感じ。
「ひとまず、あなたの部屋に向かいます」
高浜さんはすでに私の自宅の場所を知っているようで、何も聞かずに車を出発させた。
「あの……」
「そうそう、どうして俺たちがここに来たかって質問だったよね」
隣に座っている大西さんが、スーツから手帳を取りだす。
「一昨日現れた不審者は高浜さんたちが取り押さえて、取り調べをしているところなんだけど……彼はただの金品目当ての強盗だって言い張ってるんだ」
「強盗ですか」
「でも、おかしいよね。キミはあのとき、カバンも財布も持っていなかった」
そう言われれば。
私はパーティーのあと、何も持たずに庭に出た。
ネックレスと指輪は着けていたけど、遠くから、しかも夜中に犯人から見えるとは思えない。
見えたとしても、わざわざ人を襲ってまで盗る値打ちのあるものかどうかまではわからないだろう。



