ブーケを渡され、それを持って父の腕に手を回す。
チャペルの扉が開き、一歩前に踏み出した。
ああ、こんなに暗い気持ちでバージンロードを歩く花嫁が、他にいるだろうか。
ベールの向こうに、参列者の顔が霞んで見える。
急な式だというのに、よくもこれだけ集まったものだ。
大きなチャペルに、ぎっしりとつまった人々を見て、めまいがしそうになった。
父と八乙女家の影響力を、肌で感じる。
転ばないように、ゆっくりゆっくり進む。
あと一息で、篤志さんの元へたどり着くというときだった。
参列者の中から、「きゃああっ」と突然悲鳴が聞こえた。
「全員手を上げて座れ!」
男の怒鳴り声がした。
いったい何事!?
周りを見回すと、次々に参列者が座っていく。
その間から、立ったままの男たちが姿を現した。
スーツ姿だけど、その手にはピストルを持っている。
彼らは六名ほどで、式場のあちらこちらに散らばっていた。
参列者全員を人質にとられ、壁際に控えていた父のSPたちは、じっと相手の出方をうかがっているみたい。



