「詳しいことはまだ調査中なので、我々警察にもわかりません。校長先生はご存知だと思われますが、彼女は藤沢総理のお嬢さんです。もしかすると反国家的思想を持った者たちの思惑に巻き込まれている可能性があります。もちろん、彼女が何かをしたわけではありません」
「巻き込まれている?」
「彼女はつい最近も、不審者に襲われました。詳しいことは、規則なので言えませんが」
校長先生は深いため息をつく。
「そちらの情報を待つしかないというわけですね」
「そういうことです」
大西さんがうなずき、校長先生はまたため息をついた。
というわけで、学校はしばらく臨時休校となってしまった。生徒たちのためにも、早く開校できるといいけど……。
「じゃあ、家に帰ろっか」
校長先生に対する敬語はどこへやら。大西さんは明るい口調で私の背中をぽんと押した。
「あの、大西さん」
「なに?」
「どうしてここに来てくれたんですか? まるで、私が襲われるってわかっていたみたい」
校門から外へ出ると、すぐ近くに黒いセダンが停まっていた。
運転席には、先ほどの切れ長の目のSPが乗っている。大西さんが後部座席のドアを開けてくれたので、そこに乗り込んだ。



