「くそっ……」
悠の顔から笑みが消え、ぎりっと奥歯を噛む音がした。
こんなに細い道で前後をSPに挟まれ、しかも、私という荷物がいる。
悠一人なら、なんとか突破できても、私を抱えていては……。
心臓が高鳴る。指が震えて、涙が溢れそうになった。
これで、私たちの逃走劇も終わりなの?
「くそぉぉぉっ!」
肩が震えた。
隣で獣のように吠えたのは、もちろん悠で。
ハッと顔を上げたときには、彼は風のように駆け出していた。
何の武器も持っていないのに、新城さんと矢作さんに向かって。
「悠っ!」
「あんたたちを倒してでも、俺は霧子を守る!」
すぐ近くにあった壁を蹴り、空中を走るように駆け上がる。
ダン!と音がしたときには、彼は二人の先輩SPの後方に着地していた。
「せいっ!」
肘鉄を、新城さんに向かって繰り出す悠。
それは、交差された新城さんの腕に阻まれ、彼の体まで到達することはできなかった。



