「とにかく逃げよう」
悠と二人、警察がいない細い道へと入っていく。
けれど、数歩歩いただけで悠の足が止まってしまった。
「……まずい」
そう言って鼻を抑える悠の眉間に、深いシワがよる。
「どうしたの?」
「何か、すごいにおいがする。鼻がきかない」
そう言われれば、何かが燃えるようなにおいがいつの間にか辺りに立ち込めている。
まるで、お線香のような……。
きょろきょろと辺りを見回すと、まだ横にある借家の垣根の中から、白い煙が上がっている。
「完全に俺を容疑者と断定しているみたいだな」
そんな。あれは、悠の鼻をきかなくするように、わざとやっているってこと?
ということは、悠の特殊能力を知る人物が、追手としてやってきているの?
「とにかく、ここを離れよう」
悠は珍しく焦った表情で、私の手を引く。
そして、家の裏の方の道へ出ていこうとしたとき、悠の足が急に止まった。



