強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】



私はとっくに成人しているいい大人だ。家出人として届を出すのが普通じゃない?

それなのに、どうして悠が桜さんを使って私を拉致したみたいになってるんだろう。

心臓がうるさいくらいに鳴り、耳の後ろで血管がドクドクと音を立てた。

もしかして、テレビでこれと同じ内容のニュースがやっていたりするの?

悠の顔はまだ出てないとしても、行方不明とされている私の顔は、テレビに映っていたのかもしれない。

映っていなかったとしても、年齢や特徴、失踪したときの服装などの情報は流れているかも。

あの娘さんは、この報道を知り、私たちが行方不明の総理の娘と警察官に似ていると思った。だから、私たちを探りにきた。

そんな仮定を思いついたら、じっとはしていられなかった。

腕時計は二時十分前。もうすぐ、悠が帰ってくる。

私は新聞をにぎりしめ、借家までの道を走った。

動揺で喉はカラカラで、足はもつれ、何度も転びそうになった。