「そう。そうなの。色々とこちらの生活に慣れなくて大変でしょう。いつでもどんな相談にも乗るから、ひとりで抱え込まないようにね。じゃあ」
親切そうなアドバイスを残し、娘さんはクロックスもどきのサンダルを履いた足で、そそくさと逃げるようにその場から立ち去った。
いったい、何をしに来たんだろう?
首をかしげずにいられなかったけど、とにかく借家の中に入った。
静かな家の中で、買い物袋の中身を冷蔵庫に移す。
おじいさんのおかげで家電が残っていたこの家では、ほとんど何も買い足さずに済んでいる。
冷蔵庫も食器棚も、その中の食器もある。炊飯器もポットもある。
難を言えば、テレビと電子レンジが壊れているのが残念。
厳密にいえば、テレビは壊れているのではなく、地デジに対応していないそうだ。
実は預金のほとんどを東京で引き出し、リュックに入れて持ってきた悠のお金が、全然ないわけじゃない。



