「お父さんに聞いたけど、あなたたち、駆け落ちしてきたんですって?」
ははあ、なるほど。そのへんの話を聞きたくて、わざわざやってきたのか。
そりゃあ、おじいさんの家にいきなり住み始めたよそ者がどんな人間なのか、娘なら気になって当然だろう。
しかも、駆け落ちなんてオプション付きだものね。
「お恥ずかしい話です」
「いいのよ、その人にはその人の理由があるもの、ねえ」
と笑いながら、娘さんは私のことを頭のてっぺんからつま先まで舐め回すようにじろじろと凝視する。
一応悠のサングラスを借りてかけているけど、こんな田舎じゃ逆に浮いているかも……。
「ところで、お相手の方は、もともと何をしていた人なの?」
「ああ……普通のサラリーマンです」
しれっと嘘をつく私の言葉にがっかりしたような顔を見せる娘さん。
もっとドラマチックな設定を期待していたのか?



