「高浜さんっ、ひとり確保しました!」
大西さんが煙に向かって叫ぶと。
──パァン!
「きゃああっ」
思わず悲鳴を上げてしまった。
なに、今の大きな音……まさか銃声?
「しまった、逃げられた」
そんな声とともに、煙がだんだんと薄らいでいく。
中から見えたのは、二人のスーツの男の人。
「追跡は新城に任せよう。俺たちの仕事は、マルタイを守ること」
がっしりとした体格、黒髪で切れ長の目を持つ男の人が、低い声で言う。
精悍な顔つきの、前髪の短い男性がうなずいた。
「よくやったな、大西。こいつは俺が連れていく」
前髪の短い方が、大西さんの下にいた黒ずくめの男を立たせ、外に連れていく。
あとに残された私と職員は、ただ茫然とその様子を眺めていた。



