「優雅な暮らしはさせてあげられないだろうけど、ずっと大事にする。霧子が笑顔でいられるよう、最大限努力する」
「はる、か……」
「大好きだよ、霧子。待たせてごめん。お前を連れて逃げたいんだ。一緒に行こう!」
言い切ると同時、ぱっと花のような微笑みを咲かせ、そっと手を差し出す悠。
その手の平は空っぽだったけど……私には、とても綺麗なものが乗っているように見えた。
それはきっと、私たちの輝く未来。
気づけば、駆け出していた。
見た目より広い悠の胸に飛び込むと、しっかりと受け止められる。
「悠……!」
喉が熱い。胸も、目も、頬も、全部熱い。
ぎゅうと抱きしめられて、悠のにおいで肺が満たされる。
息を吐き出すのと一緒に、溜まっていた涙が一気に溢れだした。
「私も、好き」
本当は私だって、出会ったあの夜から悠のことが忘れられなくて。
専属SPとマルタイになって、新しい顔を見るたびに、そのギャップに驚きながらも、いつの間にかこんなに好きになっていた。



