強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】



──ドォン!!


突然、轟音と共に職員室の床が、いや部屋全体が揺れた。

なにこれ、なんなの!?

わけがわからないうちに、職員室全体に、煙が流れ込んできた。


「ガス爆発か?」

「給食室かも」

「とにかく、生徒たちを避難させなければ!」


突然のことに、ベテランの先生たちも慌ててしまっている。

慌ただしくなる職員室の中、私はバッグからスマホを取りだした。急いで一一九に電話をかけようとした、そのとき。


「え……?」


煙の中から、数名の人影が現れた。

黒い作業服みたいなものを着ている上半身が煙の中で揺れる。

どうやら、先生ではないみたい。

じっとその人影に目を凝らしていると、突然背後から声がした。


「霧子ちゃん、伏せて!」


霧子ちゃんって私? 伏せろって?

声がした方を振り向こうとしたとき、煙がふわりと揺らいだ。

気づけば、目の前に黒ずくめの男が迫っていた。

その手が、こちらに伸ばされる。


「きゃ……っ」


一昨日の悪夢を思い出し、足がすくんで動かなくなってしまった。