思わず声をあげてしまった。
ちょっと勢いが良すぎるんじゃないかと思った紙コップは、桜さんの手から飛び出す。
そして、完全に油断していた新城さんのシャツの胸部分に、黒い液体が思いっきりかかってしまった。
「あつっ! 何するんだよ!」
「うっわー! ごめんなさい!」
うわあ、大参事だ。
新城さんの白いシャツと紫のネクタイに、まるで泥水をぶっかけられたようなシミが広がっている。
それだけでは済まず、シャツが吸収しきれなかったコーヒーが彼のスラックスや靴、ホテルのカーペットにまでシミをつけてしまった。
「シャワー浴びてきてください! その間に、清掃の人を呼びますから」
「マジかよ……」
「警護のことなら、大丈夫。部屋の外に矢作さんがいましたよね。言っておきますから、早く。すぐに洗わないと、大変なことになっちゃいます」
桜さんはてきぱきと新城さんに指示をだし、バスルームに押し込んだ。
そして備え付けの電話の受話器を取り、部屋の清掃に来てくれるように依頼した。



