そういえば、テロリストが『それを渡せ』って言ってたのって、やっぱりこのネックレスのことだったのかな。
でも、そんなに価値のあるものじゃないって篠田さんが言っていたし、これを狙うとしたらいったいどんな理由があるのか?
それも父に聞いてみたら何かわかるかもしれない。
悶々と考え込んでいると、突然けたたましい電話の呼び出し音が部屋中に響き渡った。
「わぁ!」
聞きなれない音にびっくりする。
そんな私の横をすり抜け、新城さんが冷静にホテルの備え付けの受話器を取った。
「はい。え? すみません、もう一度……大西さん?」
大西? 悠と同じ苗字に、余計に胸が跳ね上がる。
もしかして、悠が会いに来てくれたの?
激しく鳴る胸を押さえて新城さんを見ていると、彼は受話器を押さえ、こちらを向いた。
「大西の妹が、お前に会いたいってロビーに押しかけてきているんだと」
「えっ!」
まさかの妹さん。名前はたしか、桜さん。
「どうする? 怪しい人物じゃないし、通してもいいけど」



