「なんですって?」
「このSPが、俺を殴ったんだ。嘘だと思うなら防犯カメラを調べてくれっ」
篠田さんはじっと悠を見つめ、その薄情そうな唇を開く。
「大西、本当なのか」
聞かれた悠は、こくりとうなずく。
その素直な様子からは、さっきの暴力的な獣を感じることはできない。
やっと冷静になってくれたようで、少しほっとする。
「マジかよ、大西」
「どうしてそんなことをしたんだ。よっぽどの理由があるんじゃないのか」
信じられないという顔で心配して交互に声をかける矢作さんと新城さん。
そうだ、ホッとしている場合じゃない。警官が市民を殴るなんて、あってはならないことだ。
「わかりました。事情聴取をしましょう。こちらには他の警察官を呼びます。彼は俺が連行します」
篠田さんは冷静に段取りを決め、悠の目の前まで歩いてきた。



