人間の世だって動物と同じ、弱肉強食だけど。
弱ければ、搾取されるだけの存在になってしまうのかもしれないけれど。
それでも私は、悠に勝者であってほしいとは思わない。
弱くたっていい。いつもの、優しく笑う悠に戻って。
本能がどうであれ、私は優しい悠が、本物の悠だって信じているから。
そのまま動かないでいると、やがてだらりと悠が銃を下ろした。
視界の中に、まぶしい光が差し込んでくる。
タイヤの音と共に、黒いセダン二台が私たちのすぐそばに停車した。
そこから降りてきたのは、険しい顔をした悠の班のSPたち。
そして、もう一台から降りてきたのは、公安の篠田さんだった。



