強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】



「訴えてやるからなっ!」


まずい。たしかに、警察官が市民を殴ったなんて大問題。

しかも、ここには今カノさんという目撃者がいる。アパートの防犯カメラもある。


「ちょ、ちょっと待って」


訴えられるのは困る!

どうにかこの場をとりなそうと一歩前に踏み出したとき。

ざっと、たくさんの足音が聞こえた気がして、振り返る。すると。


「は……?」


いつの間にか、暗闇に五・六人の人影が。

もしや、もう警察が悠を捕まえに来たのかと思ったけれど……。


「下がれっ、霧子!」


ぐいと腕を引かれ、バランスを崩して転びそうになる。

そんな私をしっかり抱え、悠が身をかがめた。


──パアン!


「きゃああっ」


私の代わりに、本命さんが悲鳴を上げた。

もしかして今の、銃声?


「ど、どうして……」


篤志さんがうなる。

もしかしなくても、襲撃だ。

こっちに真剣になっていて気づかなかったけど、きっと後をつけられていたんだろう。