強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】



「あなたも、私を愛してなんかないのね」


ぽろりと口からこぼれた言葉に、篤志さんは首を横に振る。


「いや。僕は君を一目見た時からとても可愛らしいと思っていたし、正直なところに惹かれている。君が好きだよ、霧子」

「は……」


篤志さんの目が、私をまっすぐに見つめている。

う、産まれて初めて、真剣告白をされてしまった……。


「これでも、懐の深い夫になろうと必死に努力しているんだ。そりゃあ妻が他の男に抱かれているのがおもしろいわけないだろ。嫉妬で狂いそうだけど、君が泣くよりはいい」


だ、抱かれているなんて……ごめんなさい、そんな相手、本当はいないんです。と、謝りたくなる。

そうか、篤志さんだって努力してくれているんだ。私を想ってくれている……。


「いいんじゃない、霧子。ここまでいい条件出してくれる相手、他にいないよ」


静かな声が、背後から聞こえた。

振り返ると、悠が微笑んでいた。

たしかに、ここまで妥協されたら、断る理由がもうない。