「もう着いたの?」
「うん。そこのアパート」
車はごく普通のアパートの駐車場に停まる。
古すぎもしない、新しくもない……築10年くらいのアパートだった。
「けっこう近いね」
「そうだね。もしかしたら、以前にどこかですれ違ったりしていたかも」
そんなことを話しながら、先に降りた悠が助手席のドアを開ける。
降りろってことね……。緊張で手のひらが汗ばんできた。
高浜さんは笑顔で『いってらっしゃい』と言った。どうやら、車で待っているつもりみたい。
とんとんと三階建アパートの二階へ上がり、奥の角部屋に案内される。
「ただいま」
悠が鍵を開け、玄関の扉を開けた。
ついに、敵地……じゃなかった、悠の自宅へ来てしまった。
「おじゃましま……」
す、と言い切る前に、短い廊下の奥の扉が開く。
そこから顔を出したのは、雪みたいに白い肌の、美人だった。



