「そう……なの。うん、わかった」
もしかして、彼女を紹介されたりして……。
それなら、それで仕方がない。最初から、独り身ではないだろうと思ってきたもの。
はっきりしてもらった方が、これ以上痛い勘違いをしなくて済む。
「じゃあ、着替えて」
そう言い、悠はこちらに背中を向ける。
その途端、泣きそうになってしまった。
私ってば、ほんとにイタイ。
たった一度、キスされそうになったくらいで、もしかして悠が、私を好きになったんじゃないかと思うなんて……。
やだ、どうして私がそんな勘違いをしなきゃいけないの。
彼はただのSP。私には婚約者がいる。
最初にちょっと血迷ったお願いをしてしまったけど、あのときは混乱していたからで、決して本心ではないし。
SPに彼女がいたからってなんなのよ。いいじゃない、彼女。どんとこいよ。
なんて頭の中で思いながら、化粧をした。
どうしてか手が震えてしまって、あまりうまくいかなかった。



