『……色々と、僕と君とで話さなければならないことがあると思うんだが』
「はい」
『直接会う時間をつくってもらいたい。できれば、明日の夜』
「えっと……ちょっと待ってください」
私はスマホを押さえ、悠にその旨を伝える。
「いいんじゃない。都合が悪くなったらすぐに連絡するって言っときなよ」
素っ気ない返事をし、悠は悠で、他のSPたちに連絡を取りはじめた。
「あの……今のところ、大丈夫そうです」
『そうか。じゃあ……』
篤志さんは時間と場所を言い、手短に電話を切った。
それを書き留めたメモを見ながら、混乱する頭を静めようとする。
篤志さんと婚約破棄するか否かについて話し合うのは、とても気が重い。
けれどそれ以上に私の心を占めるのは、さっきの悠の行動だった。
ねえ……あのとき電話が鳴らなかったら。
あなたは私に、キスしてくれていた?
一緒に暮らしている人がいるらしいあなたと、婚約者がいる私。
好きになったら泥沼だと、わかっているのに。
私たちは、いったい何を飛び越えようとしたんだろう……。



