「あー、なんかすっきりしないね」
返してもらったネックレスをつけようとすると。
「ほんと、すっきりしない」
悠が目の前にやってきて、私からネックレスを優しく奪った。
留め金を外したかと思うと、そのまま両手を首の後ろに回される。
降ろしていた髪の下をくぐる手が首筋に触れて、思わずびくりと震えてしまった。
「こら、動かないで」
「だ、だって……」
ち、近いよ~!
後ろに立ってつけてくれるならまだ我慢できるけど、前からは……前からは~!
ついてしまいそうな胸と、鼻の先。
視線を合わせられなくて、うつむいた。
「もしかして、ドキドキしてる?」
まるでキスする直前の距離で囁く悠。その息を頬に感じる。
彼の言う通り、いつもより早く動く心臓を意識せずにはいられなかった。
「うん、多少」
素直にこくんとうなずいて見せたけど、悠は腕を私の肩に絡ませたまま、離れる様子はない。



