「黒幕とも、直接会ってはいないようだな。奴らは下請けの下請けみたいなものだ」
黒幕と実行犯に分かれてるんだ。ということは、誰かが殺人請負人に私の殺人とネックレス強奪を依頼しているということ。
誰がこの事件の糸を引いているのか……。
直接手を下しにこないということは、やっぱりただの怨恨じゃなくて、政治関係者のような気がするんだけどな。
父のことを良く思っていない人は、たくさんいそうだし。
「わかってきていることもあるが、まだ何も話せない。とにかく警備部は警護をきっちりやっていろ。公安の捜査に口を出すな」
ちょっと待って。そのわかっていることっていうのを聞かせてほしいんだけど。
止める暇もなく、篠田さんはさっさと部屋を出て行ってしまった。



