「たしかに、そのようだ。しかし、戦闘のたびにこれじゃ困るな」
「囲まれなきゃ大丈夫ですよ。俺は前の高浜さんみたいに、完全な多重人格じゃないんですから」
そう言いながら、三人のSPは敵に手錠をかけていく。
そして、高浜さんはスマホで誰かに連絡を取りはじめた。
「霧子、大丈夫?怪我はなかった?」
不意に悠に声をかけられ、背中がびくりと震えてしまった。
さっきの別人のような悠が、脳裏に焼き付いて離れない。
「あ、うん……ありがとう」
お礼を言うと、矢作さんが横から出てくる。
「お前、マルタイをビビらせんなよ」
「ああ、やっぱり怖かったんだ。ごめんね」
矢作さんに言われ、悠は眉を下げ、すまなさそうに謝る。
「こいつ、普段は室内犬のようなやつだけど、その実は狼だから。敵に囲まれると野生のカンが甦っちまうってわけ」
「は、はあ……」
動物園にいる、ライオンの赤ちゃんを、想像してしまった。
ふわふわで可愛い体の中心には、れっきとした野生の血が流れている。悠はそんな感じだ。



