強引でもいい、私を奪って。【SPシリーズ大西編】



薄暗いライトの下でもわかる、きらきらした大きな瞳。

ゆるやかなカーブを描いた眉、綺麗なM字型をした上唇。

まるで女性のような優し気な顔に、無造作なのかパーマなのか微妙なくせ毛が少しかかって、なんとなく色気を感じる。

なにこれ。

体の中心が震えるような、びりびりした感覚。


「今日の主役が外に出ていくのが見えたから、どうしたのかと思って。あとをつけてきて良かった」


私はその喉仏が動くのを、じっと見ていた。


「あ、俺は怪しい者じゃないですよ。警視庁警備部警護課の大西といいます。」


警視庁、警備部警護課……。


「もしや、パーティーの会場にもいた、SPの方?」


よく見ると、大きめの耳に透明のイヤホンがされている。


「ええ、そうです。さあ、中に……」


体を離そうとする大西さんのスーツの襟を、ギュッとつかんだ。ほとんど無意識に。

大きな目を丸くする大西さんに向かい、唇が勝手に叫ぶ。


「お願い! 私をここから連れて逃げて!」


本能が言っている。

この人となら、キスができる。ハグだって、全然嫌じゃない。

全部差し出してもいいから、とにかく私を連れて逃げて。


「え?」


大西さんは目をぱちくりしたあと、眉を下げて笑った。