いい人に恋してます。



未だ気持ち良さげに眠る文乃に手を伸ばす。


ほんの1ヶ月とほど前までは、彼女と同じベットの上で寝るなんて想像もしてなかった。


彼女は5年も前から俺のことを想って、俺の気持ちが傾くのを待っていてくれたらしい。


なんて嬉しくて、ありがたい話なんだろう。


絹のようなさらさらの髪の毛に指を通しながら思う。


俺も待とう。
5年は無理だけど。


まあ、せめて明日の朝までは。



そう決意して、柔らかい彼女の身体を抱きしめて目を閉じた。


早く朝が来ますように。









いい人の苦悩。完

2016.01.12