あ、悠人さん・・・。

窓から見えるグランドでは、サッカー部が練習をしていた。次々に抜いていく姿は誰が見ても目に止まってしまう。

1人、2人、3人、4人あっ・・・!
惜しい、もう少しでゴールだったのにボールを取られて転んでしまった。

大丈夫かな・・・!?

転んだ悠人さんにツインテールの女の子が近づいている。多分マネージャーさん。救急箱を持っていって傷の手当をしている。


なんか、お似合いに見えるな・・・。

少し、心が締め付けられる感じがしたがその時はあまり気に止めなかった。


でも、それが私の初恋だったんだと思った。

一年が立ち、先輩は卒業と同時に県内にあったサッカーの名門校にスカウトされそこの寮に入ってしまった。

少し、寂しくなった施設。

でも、施設のシスター達は優しいし元気で心優しい私より小さい子ども達もいてそんな事は忘れていた。

でも、やっぱり先輩のことを思い出してしまう。


高校も決まらない私は何故か先輩がいる高校を志望校子調査の紙に書いていた。

そしたら、隣の男の子に話しかけられた。

「へ~、水記さんも成光高校なんだ!」

突然話しかけられ少し、躊躇しながらも返事をした。

「う、うん・・・。」

「あっ!ごめんね!勝手に見ちゃて!俺もそこ受けようと思って!実は俺の憧れの先輩もそこにいるんだよね。」

彼は少し嬉しそうに話してくれる。いつも、笑顔で、笑うとエクボが見えるのが可愛らしい。

「可愛いな・・・」


いや、男人に可愛らしいと言ってはダメかな?

「えっ?今なんて言ったの?」

「え!あ、何でもないの!そう言えば谷中君て、今サッカー部のキャプテンだよね?」

よく、先輩を見ていたグランドから先輩とよく一緒にいる谷中君を見てた。

それに、先輩も谷中君のことをよく話していて時期キャプテンはアイツだなて笑いながら話してたっけな・・・。

「驚いた~!水記さん、俺の名前覚えてたんだ!そう!今は俺がキャプテン。で、俺が憧れてんのが前の3年だった悠人さん!本当にあの人カッコイイよな~!」

目を輝かせながら話す彼は、まるで新しいおもちゃを貰った5歳児のように少し、幼く見える。