その光を見ると私の不安が少しだけ軽くなった。

しかし、見えたのは炎だけではなく人影のようなものも見えた。

光のおかげか、私の今いる所の光景が見えてきた。私の2m先には鉄のようなもので作られた頑丈そうに見える棒が、まるで私を囲むように張り巡らされていた。


そして、私の腕は鉄鎖のような物で硬く縛っていた。

コツコツコツ、

さっきまでは聞こえなかった音がだんだん近ずいてくる。そして、私を取り囲んでいる鳥かごのような物の前に、私の目の前にその人影は止まった。



ずっと下を向いていた顔を少し上げるとそこには、私の知っている人間とは思わない人がたっていた。


その人は、右手に松明を持ち自身の顔を照らしていた。黒いバサバサとした毛に、鋭い黒いくちばし。目つきの悪い目は私の事を見ている。


そして、人間の様に二足歩行をして立っている姿に目を丸くした。成人男性と同じぐらいの背丈に和風ぽい服装。後ろにはその背丈を覆うぐらい大きな翼があった。

まるで、烏を人間にしたような生き物が私の前にいた。



「お前が、暁夜(きょうや)様を拉致した奴だな。刑罰が決まった、さぁ、出ろ!」

彼の言葉が理解出来たが、彼の言っている意味が分からなかった。


この人は何を言っているのだろう?と他人事の様に私の思考は止まっていた。しかし、烏のような彼は鳥かごの扉を開けて私の元まで近づく。