「……ふ」


頭を撫でられる。


なんだ、機嫌悪いんじゃなかったんだ。

よかった。


この景色を見せるために黙ってたの?


嵐くん、嘘下手だもんね。


「なぁ、璃乃?」


「なーに?さっきから」




「俺たち別れよう」





……え?


なに言って。



「なんの、冗談?」


自嘲気味に口から笑みがこぼれてしまう。

嘘でしょ?


私にドッキリでも仕掛けてるの?



「冗談なんかじゃねぇよ」


やだ、やだ、やだ。

それ以上は言わないで。


綺麗な景色がくぐもっていく。


「なんで?好きって……」


「……」


ずっ、と微かに鼻をすするような音が聞こえた。


「嵐く……!」


ガッ、と顔を後ろに向かされ、唇を重ねられる。



「……ごめん、ごめん……っ」


つ、と頬を涙が伝った。



なんで泣くの?

どうして別れなきゃいけないの?


なんでキスなんかするの?

どうして、なんで?


そればかりが頭を巡る。