「……どこいくの?」


「……」


学校を出て10分ぐらい歩いてるけど、なんか会話はないし、どこにいくかも教えてくれない。


だんだん見慣れない景色が広がってるのは確かだけど。



「あと5分ぐらい」


階段を上り始める嵐くん。


その後ろについて歩くけど、もうへとへと。


階段の周りには森が広がっている。


もうホントに、どこに行く気なの?


「ほら」


いつの間にか頂上?についたのか、数段上で嵐くんが手を差し出している。


「はぁ…はぁ」


私の手を掴んだとたん、今度は走り出す。


「っちょ!嵐くん!なに!?」


上りきったところは、広間が出来ていた。


周りには柵があり、端のほうにはベンチも置いてある。


ここはなに?


「ここは……?」


「これ見ろよ」


柵に頬杖を付きながら不敵な笑みを浮かべる。


恐る恐る柵の近くに行き、その景色を見た。


「……」


……これ、私の街なの?


夕日で輝く自分の住む街の景色に息を飲んだ。


こんなところ、あったんだ。


綺麗。

素敵。


色んな言葉はあるけど、出てこなかった。


それほど綺麗だったから。



「……なぁ、璃乃?」


ふいに後ろから声がして、抱き締められる。


なにか、変?



「なに?」


「俺、お前のこと大好きだ」


どくんっ、と心臓が跳ねた。


そんなこと、今まで言われたことない。



「わ、たしも、大好きだよ……」