「璃乃、カバン」


帰り際。

突然、嵐くんに手を差し出され、きょとん、と固まってしまった。


カバン?

渡せってこと?

んん?恐喝?
いやいや、いくらなんでも私に……


そのまま数秒間動かないでいると、嵐くんが私の頭を軽くはたく。


「へ、いたい……、どうしたの?」


「カバンっつってんだろ」


わけがわからず、でも、渡さないと怒りそうな雰囲気だったから恐る恐るカバンを渡す。


「帰るぞ」

「うん……?」

スタスタ、と早足で教室を出ていこうとする。



さっき仲直りしたはずなのになぁ……。


また何か怒らせるようなことしたかな。


「……ちょっと待ってよ~!」