「落ち着いた?璃乃」


「うん、すごく楽になった……ありがとう」


ふぅ、と体に溜まる息を吐き出す。


チャイムが、何回か鳴り響いていた。

いまは、何時間目だろう。



「ごめんね、授業サボらせて……」


「あほだなぁ、璃乃と授業なら璃乃を選ぶに決まってるでしょっ?」


「……う」


「ちょっ、なんでまた泣くの!」


ぐい、とみのりんが自分のブラウスの袖で私の涙を拭ってくれた。


「優しいなぁと、思って……」


「もぉ、泣き虫っ!」

でこぴん!っと言ってみのりんがあたしのおでこをはじく。


「いてっ」


なんだか、このやり取りに、笑顔がこぼれた。


まだ、笑えたよ、私。

大丈夫。大丈夫。


嵐くんのことは、まだ大好き。


だから辛いけど。


まだ、諦めないから。