☆飛世side☆





「これで…良いのか、茅野」


「はい」




先生に提出した、進路希望表。

俺は笑顔で、悔いなく出せた。




「失礼します」




職員室を出て、ほっと一息つくと。

壁に寄りかかっていた彼女が、手を振って微笑んだ。




「飛世、出せたか?」




…見た目は可愛らしい女子高校生なのに。

口調はやっぱり、そう簡単には変わらない。

“あたし”と言い出しただけ、良しとしよう。




「……出せました。
でも真咲、これで良いのですか?」


「良いんだよ。
飛世の夢、潰したくないから」


「……ありがとう」





本当は、辛いはずなのに。

真咲は、にっこり、向日葵のように笑った。