…全く誰だよ、こんな時に。

 居留守を使っても構わないのだが、“気遣いの秋ちゃん”と異名をとる俺には、それが出来ない。

 気怠い体を引きずるように、モニターを確認する。

「課長ぉ」

 モニターに向かって、クリーニング屋の紙袋を懸命にアピールしているのは…。

「赤野!」




「すいません、お休みのところを」

 赤野は、申し訳なさそうに頭を下げた。

「い、いや。しかし、よくここが分かったな」

「熊野先輩に聞きました」

…って事は。

赤野の後ろを確認する。…あれ?

「アイツは?」

「ああ、『残業終わるまで待ってろ。』って言われたんですけど…。面倒臭いんで置いて来ちゃいました」

 グッジョブ赤野。

「まあ、入れ」

 俺は、彼女を部屋に招き入れた。

 …これは、絶好のチャンスかもしれない。