「永瀬のこと詳しく知ってる子に話し聞いてたんだ。陸上のこと」
「え?」
『陸上のこと』ってどういうこと?
私は理乃の話に耳を傾けた。
「永瀬には『真穂』っていう幼なじみの彼女がいたんだって。だけど、高校入ってすぐ元彼と浮気してたのがバレたらしくて……。永瀬それが許せなくて別れてから陸上の練習しに来ないんだって。
その真穂って子も同じ部活だから」
一通り話し終えると理乃はこちらを向いてきた。
「どうする?」
話を振られても私は何も言うことができなかった。
……全然知らなかった。
颯の過去にそんなことがあったなんて。
本気でその子が好きだったから許すことができなかったんだ。
颯にとってそれは本当に辛いことだったんだのに、それを私が余計な詮索をして傷つけてしまった。
自分のことのように胸が苦しい。
結局私は颯のことを何も知らないし、わかっていなかったんだ。



