私は無我夢中だったのかもしれない。
グイッと引っ張られたかと思うと、気がつけば颯の広い胸が目の前にあった。
……私、抱きしめられてる?
颯の腕は私を包み込むように後ろに回されている。
暗いのと抱きしめられてるので颯の顔が見えず、突然のことに私はただ驚くことしかできない。
「あっ、あの」
颯は何も言わない。
…………颯?
抱きしめてくれた理由はわからない。
最初は驚いたけどでもすごく嬉しくて。
初めての颯の暖かさに身を委ねてしまいそうになる。
このまま時が止まっちゃえば良いのに。
しばらくお互いの鼓動だけが聞こえていた。
「ごめん」
「へ?」
突然の颯の言葉に、私は頭に『?』を浮かべた。



