「あっ!言っとくけど、ののたちはそんなことしてないよ!?毎日タケくんの部屋には行ってるけど、そういうのルール違反だし!」


ルール違反と言ってしまえば、男子寮に忍び込むこと自体がそれに値するとは思うのだけど、この際それは置いといて。


「うん、平気……。守ってくれる人もいるから……」


最後の部分は、声が小さすぎて聞こえなかったと思う。

柿崎さんが「ん?」と、首をかしげている。


「あの……、大丈夫なの。本読んでれば、集中して周りの声とか気にならないから」


それだけを伝えると、柿崎さんは安心したようにニコッと笑った。


「紗帆ちゃん、最近明るくなったよね。図書館が楽しいから?」


そんな指摘をされ、私はパチパチとまばたき。


「うん……、楽しい……」


そっか、私、真夜中くんと一緒にいるの、楽しいんだ。