「ち、違うの!変なのばっかり読んでるんじゃなくて、面白い話にたまたまそんなシーンがあっただけで……!」

「どんなシーン?」

「ーーっ!」


必死に弁解すればするほど、墓穴を掘ってしまう気がする。


私は答えず、ヤケクソ気味に本に目を落とした。


「あ、怒らせた?ごめんごめん」

「……」

「そんなに警戒しなくていいよ。前も言ったでしょ、手出したりしないって」

「……」

「それに」


私は、チラッと真夜中くんを見る。

すると、肩にトンッと頭が乗った。

今日の休み時間と同じ……――


「俺、好きな奴いるから」