「今度貸して。無言ちゃんが好きなもの、見てみたい」

「うん……」


隣からすぐに、規則正しい寝息が届く。

私は本から目を離して、横顔を時折盗み見した。


静かな空間。

静かな時間。

大好きな本のにおい。

隣には、真夜中くん。



ページをめくる音が響く。

しまった。この本、ちょっとエッチなシーンがある……。

このシーンでにやけてたと思われたら、困るな。

しかも、これ貸すんだし。
絶対からかわれる。


そんなことを考えながら、昨晩眠っていない私は、いつの間にか真夜中くんにもたれかかりながら目を閉じていた。


起こす人は、誰もいない。

私たち、ふたりだけ。


今夜はこのまま君と、制服で一晩中。